仔牛の誕生

2月、3月は牛たちの出産シーズンです。
この時期になると釜津田ではあちこちで毎日のように仔牛の誕生の知らせが聞こえてきます。

牛の出産は、基本的にそれぞれの家ですませますが、難産の場合は近所の人や獣医さん(あるいは獣医なみの腕前をもつ近所の人)に手伝いにきてもらいます。


[1:30pm.] 母牛、産気づく

出産予定日が近づいていたので、一日に何度も牛舎を見て周り、母牛の様子を観察します。
出産が近づくと、母牛はしきにりしっぽをあげ、低いうなり声をだすようになります。
そして、破水がおこります。破水のことを「湯がまかる」といい、湯がまかると、とたんに家人は慌しく動きはじめます。
いよいよ牛の出産です。


[2:30pm.] 仔牛、足をだす

湯がまかっても、すぐに仔牛が産まれてくるわけではありません。
母牛は立上がったり、寝転んだりを繰り返します。
のんきに餌をたべることもあります。
家人はその間に、敷き草を用意したり、産後の母牛に食べさせるための干葉汁(干した大根の葉を味噌味で煮たもの)を炊いたりします。
そのうちふと母牛の方をみると、仔牛の前足が母牛の体からでてきました。


[3:30pm.] 仔牛の誕生

仔牛の前足がのぞいても、しばらくは様子を見守りつづけます。
母牛はしっぽをさらに高く持ち上げ、お腹でおおきく息をしはじめます。
家人は声をひそめ、母牛を刺激しないよう、静かにそばに集まっていきます。

そして、それまで立ち上がっていた母牛が寝転ぶと、母牛の体からのぞいていた仔牛の前足に丈夫なひもをかけ、二、三人でそのひもをしっかり握って母牛の呼吸に息をあわせます。
突然、母牛は高いうなり声とともに勢いよくたちあがります。
同時に皆で仔牛の足(にかけた紐)をひっぱります。
母牛のうなり声と、仔牛の足をひっぱる人のかけ声がかさなります。それはまるで、母牛と人間の綱引きのようでもあります。

そうして母牛の呼吸にあわせ仔牛の足をひっぱりつづけると、仔牛の口先と舌がでてきました。
母牛も苦しいけど、産まれてくる仔牛も苦しい。でもあとひとふんばりです。
これが最後と、母牛が大きく息をした瞬間、精一杯の力で仔牛をひっぱります。
とうとう仔牛の頭がでました。

出産は頭が出さえすればほぼ無事済んだも同然。仔牛の体がするりと産まれおちました。


[4:00pm.] 仔牛の立ち上がる

産まれ仔牛はすぐに母牛の顔のそばにつれていってあげます。
母牛は仔牛の体をなめてきれいにします。
仔牛はすでにうつろながらも目をあけており、立ち上がろうとしきにり首をもちあげる動作をしはじめます。
産まれてから30分から1時間もすると、仔牛はよろよろと立ち上がります。
はじめはすぐに前足がおれ、前のめりになったり、横倒れしたりしますが、そんなチャレンジをくりかえすうちに、母牛にもたれかかるように立ち上がり、一歩一歩踏み出しはじめます。
仔牛がめざしているのは母牛のお乳です。
母牛は干葉汁を食べながらも、仔牛がちゃんとお乳にたどりつけるよう、頭で仔牛をうながしています。


[4:30pm.] 仔牛、乳を飲む

とうとう仔牛は母牛のお乳にたどり着きます。
これで家人も一安心。乳を飲む仔牛を見届けて、牛舎を後にします。

産まれたばかりの仔牛
母牛は仔牛の体をなめてきれいにしてあげます。
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生まれたばかりの仔牛は全身濡れていて、目のまわりから毛が乾いて色がかわり、おかしな顔をしています。
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 仔牛はあっちへ転び、こっちへ転びをくりかえしながらたちあがります。
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干葉汁
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乳を飲む仔牛とそれをみつめる母牛。ともに元気でなによりです。
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